非常用発電設備

6.”非常用発電設備”のつぶやき

6-1 DTCについて

 低圧の非常用発電設備が設置されている事業所において、消防法などにより停電になると自動で発電機回路に切換える回路になっているものが多い。
 低圧の非常用発電設備が小型のものでは、DTCは発電設備のパッケージに内蔵されているものが多く、停電の検出や発電機回路に切換える回路など全てパッケージ化されている。
 この場合、非常用発電設備への電源を切れば、停電を検出し発電機が起動後、発電機回路に切換わる。
 低圧の非常用発電設備が大型になると、DTCは発電機のパッケージ内ではなく受変電設備に設置されているものが多く、非常用発電設備の電源とDTCなどの停電復電検出は別になる場合が多い。
 下図はDTCへの回路構成の一例であり、A電源側及びB電源側が同時に励磁されない様構成する。

6-2 消防法など各種法令の点検等

  非常用発電設備については、事業所で適用になる法令により点検義務が生じ、保安規程に記載された点検内容の実施のほか、建築基準法関係の建築設備定期検査および消防法関係の機器点検や総合点検、防火対象物点検にて点検実施する必要があります。
 また法定点検以外に、任意で各メーカーや発電機の専門業者による点検を依頼される場合もあります。
 消防設備点検においては、機器点検を年2回、総合点検を年1回行う必要があり、防火対象物により1年または3年ごとに1回報告義務があります。
 下表に各点検の概略を記載しており、電気以外ではどのような点検を行っているか理解し、電源の切替性能の確認など、年次点検において停電させないと確認が困難なものは、電気以外の点検業者へ情報提供するなど、各社で連携することも重要ではないかと考えております。
 医療関係では、生命維持装置などへバックアップのため、非常電源の規定がJISで決められていることも知っておいた方が良いと思われます。
2019年5月現在

  消防設備点検の概略 建築設備点検の概略 保安規程例 各原動機メーカー推奨例
外観点検 保有距離や区画状況などの設置状況確認、表示、原動機の変形損傷など、発電機の腐食損傷汚損など、ラジエターなどの変形損傷・内部の汚損つまり、冷却ファンの変形他Vベルトの点検、潤滑油の油量・汚れ、制御装置(発電機盤・補機盤など)、配管、燃料容器、排気筒、耐震装置を点検 発電機室防火区画貫通処理、発電機容量、発電機および原動機、燃料油・潤滑油・冷却水の状況および漏れ、取付状態、計器類および表示の確認 原動機、始動装置、付属装置、発電機、励磁装置、遮断器、開閉器、配電盤、制御装置など A点検(周囲外観状況,水・油・冷却水・燃焼油・潤滑油量確認、計器類指示、発電機スリップリング・ブラシ点検)
B点検(潤滑油 汚れ点検)
C点検(制御盤計器、リレー・スイッチ作動確認、配線ターミナル増し締め)
主に原動機の整備       B点検(濾し器・タンクドレン抜き、吸排気弁バネ点検)
C点検(クランクデフレクション計測、セルモーターブラシ点検、吸排気弁弁頭スキマ調整、燃料・潤滑油濾し器分解清掃、カムタペットローラ点検、ガバナリンク点検調整、分配弁・始動弁分解点検、過吸器フィルター清掃、排圧測定、)
D点検(燃料噴射時期・噴射弁噴霧点検調整、機関潤滑油交換(費用は別途の場合が多い)、始動空気減圧弁、停止電磁弁点検、燃料噴射弁分解点検、始動空気減圧弁ダイヤフラム点検)
蓄電池点検 外観点検:蓄電池の変形亀裂など、減液警報、液漏れ警報、充電装置
触媒栓の有効期限、負荷容量
電解液比重・温度・液量、蓄電池電圧測定、充電装置電圧測定、出力電流負荷電流の記録、均等充電の実施状況、逆変換装置の外観・電圧他、直交変換装置の外観電圧など
電解液目視および電圧測定 外観点検、電圧測定、比重測定、液温測定、絶縁測定(充電装置、付属装置) B点検(電解液点検)
始動用空気圧設備 変形損傷などの外観点検、空気圧力、潤滑油、
総合点検時に空気充填装置が自動で起動するか確認、圧力低下の警報確認
圧力確認   A点検(空気漏れ点検、コンプレッサー作動確認)
C点検(安全弁作動確認、コンプレッサー油交換)
保護装置 接点メイクなどで動作確認
総合点検時には検出部を実動作で作動し確認する。
  動作確認(原動機、始動装置、付属装置)、遮断器、開閉器、配電盤、制御装置など、インターロック試験  
始動制御 シーケンスの確認、始動時間が40秒以内 始動停止確認、始動時間が40秒以内    
無負荷運転 運転状態を確認 運転状態を確認
排気の状態
原動機、電圧、周波数測定 A点検、始動運転停止の点検含む
補機類の運転   補機類の作動確認 始動装置、付属装置 B点検(冷却水・燃料油汲み上げポンプの作動状況
接地 接地抵抗を総合点検時に測定※基準は電気関係法令 接地線の取付状態   C点検
絶縁抵抗 総合点検時に各回路を測定※基準は電気関係法令 実施する※基準は電気関係法令 発電機、励磁装置、遮断器、開閉器、配電盤、制御装置など C点検
負荷運転

ガスタービン以外の原動機は定格出力の30%以上の負荷運転※1またはこれに代わる内部観察などを行う。(予防的な保全措置が講じられている場合、実施間隔を最長6年にできる。)

予防的な保全措置とは
(一例として)
⑴確認すべき項目(下記部品の設置がない場合は省略)
余熱栓の異常の有無、点火栓の異常の有無、冷却水ヒーターの異常の有無、潤滑油の異常の有無
⑵下記部品などの交換
潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、給気フィルター、Vベルト交換、ゴムホース、シール剤等、蓄電池

内部観察とは
過給機のコンプレッサー翼並びにタービン翼、排気管にじんあいなど付着していないか確認し清掃。
燃料噴射弁を取り外し噴霧状態と噴霧圧力を確認。
摺動面などの内部確認。
潤滑油の動粘度、燃料希釈分、塩基価、金属成分、水分等が製造者の指定値範囲内であることを確認。
冷却水の成分の確認。(PH,全硬度、電気導電率、蒸発残留物)

予備電源により排煙機および非常照明の作動状況確認し、非常照明は点灯時間を確認   B点検(実負荷運転)
切替性能 切替性能については、電力を常時供給する自家発電設備に限り実施する。
常用運転から非常用運転への切替時間が40秒以内であること。
商用電源から非常電源の切替状況を確認する    
備考       E点検・F点検は本表には記載していない。

※1 火災時に想定される負荷にて負荷運転を実施しても問題はなく、必ずしも30%以上の負荷にこだわる必要はない。詳しくはこちら

6-3 つぶやき(非常用発電設備)

さまざまな非常用発電設備関連の届出
消防関係法令
 危険物貯蔵所(取扱所)設置許可(変更)申請
 少量危険物貯蔵の取扱届
 発電設備設置届
 蓄電池設備設置届
電気事業法関係
 ばい煙発生施設(当ホームページ申請手続き関係をご参照ください)
 騒音に係る特定施設
 振動に係る特定施設

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